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審判に暴言で退場とは?プロ野球で退場になる抗議や侮辱の基準

野球の試合やニュースを見ていて「審判に暴言を吐いて退場」と言われるようなシーンを見かけることがあります。
では、この暴言というのは一体どんなものなのでしょうか?

暴言という曖昧な表現

メディアが「暴言で退場」という言葉を使うので、暴言を吐いたら退場だと思っている人も多いかと思います。
まあ、実際に審判が「暴言」という言葉を使うこともあるのですが、暴言というのはかなり曖昧な表現ですよね。



暴言という言葉を使わないのであれば「判定に不満な態度を取ったから退場」になります。
ルール上「不満な態度を取ったものには警告し、それでも言ってくるようなら退場」になりますからね。

ただMLBの場合はルール通りに退場となりますが、NPBの場合は簡単には退場にはならない印象です。
審判(NPB)よりも球団の方が強い立場なので、球団がNPBに文句を言えばルール通りでも審判が上から怒られてしまうからです。
だから「暴言で退場」というのは、ルール上はともかく日本野球の解釈では間違いではないのかもしれません。
かなり汚い言葉を使っているんでしょうね・・・。

これはMLBだけど、後ろの男性がニヤニヤしているので、汚い言葉を使ったんだと思います。笑



ちなみに日本は国際大会で不利な判定を受けることが多い印象を受けるかもしれません。
日本は審判に対するマナーが悪い国として知られており、それだけ審判の見る目も厳しくなっているそうです。
(たしかWBCコーチの高代さんが著書で書かれていた)

まあ、審判への暴行が平成の時代でも普通にあって、それが問題視されなかったわけですからね・・・。
そりゃあ、そういう印象があるのも当然のことではあります。


審判への暴言の基準

また、「審判への暴言」というのは、もう1つわかりやすい基準があります。
どういうものかというと、判定自体への文句なのか、審判への文句なのかということです。
「なんであれがセーフなんだ!」というのはOKですが、「お前はどこを見ているんだ!」と審判自身の文句を言うのは駄目ということですね。
この場合は侮辱という言葉が使われているかもしれませんね。



日本でもよくファンが「また〇〇か」と審判の名前を出して不満を言ったり。
実況アナが怪しい判定のときに限って「一塁塁審は〇〇です」とか、暗に批判的なコメントをしますが。笑
ファンが言うのは仕方がないけど、実況アナが言うのは気分が良いものではないですな。


MLBの監督退場劇はパフォーマンス

日本で退場劇が起こると、審判が悪者のように扱われることも多いです。
その点、MLBの場合は退場劇自体もパフォーマンス化している面があります。
特に監督の退場劇はそれが顕著で、MLBでの監督の抗議というのは本当に怒っているケースはほとんどないとされます。



選手が不満げだから建前として抗議する。
あるいは選手が不満を表して退場になりそうだから、監督が急いで審判へ特攻して退場になり選手の身代わりになる、というものが多いです。
というか、ほとんどの抗議は選手を守るための抗議になります。
先に選手が退場になっても、選手のために抗議して一緒に退場になる光景も珍しくありません。

例えばこのジラルディ監督は打者を守るために咄嗟にベンチからヤジを飛ばして退場になっています。
ベンチから飛び出してくると、打者に何も言わせないように審判と打者の間に入ってから抗議をしていますよね。
で、ひと通りしゃべったら引き上げています。

こちらのロバーツ監督も投手を守るための抗議ですね。
ちなみにMLBでよくある光景が退場になるまで抗議する→退場になったらヒートアップして、ひと通りしゃべったらそそくさと帰るというものです。
これはもうお馴染みのパターンで、審判と一緒にやるショータイムみたいなものです。

ちなみに球審がマスクを外すというのは警告の意味があります。(日本にはない)
マスクを外して(警告して)それでも文句を言ってくるようなら退場になります。
他にも監督の話を聞いたあとに背を向けるのも「それ以上言ったら退場」というような意味があります。


審判が感情を出してはいけないのか?

ところで、僕が疑問に思うことの1つに、審判が感情を表に出すと叩かれる風潮があることです。
それこそ実況アナまで審判を批判しますからね・・・。
審判が激しく選手と言い合うと「審判は冷静でないといけない」とか「逆切れ」というように叩かれてしまいます。

激しく抗議しているのに冷静でいられたら、選手や監督はその方が嫌なんじゃないかと思いますが・・・。
それこそ「不貞腐れている」と叩かれてしまうでしょう。



日本だけでなく、アメリカでもそのような風潮がないわけではないみたいです。
ですがそれが正しい姿という意見もあり、理由としては「それだけ自信を持って判定することが審判のあるべき姿」というわけです。
これは派手なアクションでジャッジする審判にも同じことが言われます。

ちなみにこちらはボールをストライクとコールしてしまった審判ですが・・・。
派手なコールに打者も苦笑いです。笑

日本では審判が派手なジェスチャーで目立つと「審判が目立ってどうする」と叩かれる風潮もあります。
もちろんアメリカも同じ風潮もあるようですが、このように堂々とジャッジするのも審判として正しい姿という意見もあります。

まあ、いろんな価値観はあると思いますが、日本だと何かあればとりあえず審判が悪い風潮になりますからねー。
マスコミは叩きやすい方を叩くので、審判を批判する方向になってしまうのですが。
それに日本人は間違ってはいけないという教育を受けるので、どうしてもミスは許せない風潮になってしまいます。

だからといって目視でわからないもの、ストライクともボールとも取れるもので審判を批判しても仕方がないと思いますけどね。
贔屓に不利な判定をされて怒るというのはわかりますが、判定への不満はともかく個人批判はね・・・。
そういう風潮で審判を取り巻く環境が厳しいからこそ、優秀な人材が審判を目指すことが減ると思います。

ボブ・デービッドソンのナイスジャッジ!

最後に僕のお気に入りの審判の名シーンを。
日本では悪名名高いボブ・デービッドソンがMLBの舞台で素晴らしいジャッジです。
これは卑猥なヤジを連発していたファンを退場させたようです!

このように審判にはファンを退場させる権利もあります。
ただ日本は前例がないでしょうし、MLBでも僕はこのケースしか知らないですね。
周囲の観客も拍手をしていますが、これは素晴らしいジャッジでした!



見た目もずいぶんとおじいちゃんになり、現在は審判も引退しているボブです。
WBC日本戦のジャッジも必ずしも誤審というわけではなく、あえて言えば悪いのはボブじゃなくて二塁塁審なんですけどね。
例によってマスコミが叩きやすい方を叩くので、日本戦も世紀の大誤審として語り継がれてしまいました。
まあ、マスコミの在り方については仕方がないので、ファンの審判を見る目が変わればいいのになとは思ってしまいます。

波田純: