1試合全9ポジション守備に就く。MLBに日本よりユーティリティが多い理由

1試合で全9ポジションを守るという珍記録。
MLBでは過去5回記録されています。

・バート・キャンパネリス 65年
・シーザー・トーバー 68年
・スコット・シェルドン 98年
・シェーン・ホルター 00年
・アンドリュー・ロマイン 17年

キャパネリスは通算2000本安打の名選手。
シェルドンは02、03年にオリックスでプレーしたので日本でも馴染みのある選手です。

プロモーション的な記録

この記録はチームはもちろん、相手チームの協力がないと達成することはできません。
協力というか許可が必要になりますね。
勝利のためにやる意味はまったくない記録ですから、相手への配慮も必要ですからね。

こちらは後にオリックスでプレーするスコット・シェルドン
このときは序盤で大量失点したので相手監督に了承を得て記録にチャレンジしたようです。
マイナーでは捕手を守っていないけど、MLBでは4試合ほど捕手を務めています。

シェーン・ホルターはシーズン最終戦のプロモーション的な起用です。
同年は捕手も含めたユーティリティプレーヤーとして活躍していたので、その功績を称えるためのイベントですね。

アンドリュー・ロマインも同じく彼を称えるための起用で、事前に相手に了承を得てファンにも事前告知しています。
オフに退団したので、そういうこともあっての起用だったのかもしれませんね。


日本での1試合全ポジション

ちなみに日本では74年に日ハムの高橋博士選手が記録しています。
これは三原マジックでお馴染みの三原脩監督(当時球団社長)のアイディアで消化試合に行われたものだそうです。
まあ、1度でも記録されているというのは意外なところですな。



今後記録される可能性があるかと言えば、想像はできないけど可能性はありますよね。
現在ではCSが導入されているので消化試合が減ってはいますけど。

スキル的なことで言えばバッテリーがポイントになります。
でもまあ、捕手にしても投手にしても勝敗を考えないのであれば、できないポジションではないですからね。



それよりも障害になるのは空気感かもしれません。
お遊びとは言わなくともイベント色が強くなる記録ですから、それくらいユーティリティとして認知されている選手じゃないとね。
記録への風当たりは強くなってしまいます。

まあ、特に今の時代はネットで誰でも発言できる時代ですし、賛否両論あるのは当然ですけどね。
個人的には「誰がやるか」がポイントになると思います。
主力や若手選手よりも、バックアップのベテラン選手に敬意を示す形で行われる方がいいですね。

MLBに複数ポジションを守る選手が多い理由

MLBというのは主力級の選手でも複数のポジションを守ることができる選手が多いです。
近年はポジションを固定せずにレギュラー格として出場するスーパーユーティリティの存在も目立っています。
彼らに限らず多くの選手はマイナー時代から複数のポジションを経験しています。

理由としてはまずチーム事情があります。
例えば将来のレギュラーとして期待されているショートの有望株がいたとして。
すでに長期契約を結んでいるショートのレギュラー選手がいるなら、セカンドやサードへのコンバートが検討されるというようなケースです。



そしてもう1つがトレードバリューを上げるという側面です。
セカンドやサードが守れるならその方が価値も上がりますからね。

それにもしトレードで獲得したい選手がいる球団が、外野手の有望株を求めているケースがあるとします。
それならショートの選手をセンターにコンバートして、トレードを有利に進めようというケースもありますからね。

ちなみにMLBレベルでもトレードバリューを上げるために、上位打線を打たせたり、先発やクローザーに起用したり、盗塁を増やしたいということもあります。
そこらへんの感覚は日本にはないかもしれませんね。



スイッチヒッターが多いことにも同じことが言えますが、やはり複数のポジションが守れないとMLB昇格も厳しいんでしょうからね。
だから選手が自ら望んでいろんなポジションを守ることもあるわけです。

MLBはNPBに比べると一軍の登録人数が少なくなるし、マイナーの選手と簡単に入れ替えもできないですからね。
まあ、だからこそ守備がイマイチでMLBでチャンスがもらえない強打の選手が、日本で活躍するケースがあるってことですね。

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