MLBとNPBの違いに移籍市場の活性化があります。
僕がMLBに興味を持ったのも、この手の話が好きだからというのが大きな理由です。
FA市場もそうですが、トレードだって日本とは比べ物にならないぐらい活発に行われています。
そのすべてを把握することは難しく「いつの間にか移籍していた」なんてことも珍しくはありません。
NPBでは大物どころか、一軍でバリバリ働いている選手のトレードも珍しいかもしれません。
主力が動くMLBのトレードの中には日本では見られないようなものもたくさんです。
特に「ファイヤー・セール」と「フラッグ・ディール」と言われるトレードはNPBの歴史的に見ても例がないかもしれません。
ファイヤー・セールとは?
ファイヤー・セールというのは、主力選手を次々と売り飛ばすことです。
マーリンズの伝統芸としてお馴染みですね。
財政難の球団は経営の健全化のために、主力の放出をしなければならないことがあります。
ファイヤー・セールというのは、チームの戦略というより経営難が理由になります。
マーリンズは若手が育って良いチームになったら、年俸が高騰して経営が苦しくなるので放出。
というのを繰り返すから批判も大きくなっているわけですね・・・。
そりゃあ、ファンからしたら期待値が高まったタイミングでの解体なので不満も出るでしょう。
ちなみに、経営難というわけじゃないけど、主力を一斉放出してチームを作り直すという方針もあります。
これは厳密に言えばファイヤー・セールとは違うのですが、ファイヤー・セールと言う言われ方をすることもありますね。
いずれにしても主力を一斉放出なんて日本では今後も見られることはないでしょう。
フラッグ・ディールとは?
もう1つ、日本では見られないトレードがフラッグ・ディールと言われるものです。
これは優勝を狙うチームが、下位に低迷しているチームから若手有望株との交換で主力選手を獲得するトレードのことです。
日本的な価値観だと「強奪」のようなニュアンスですが、どちらかと言うと主力を出す側が売りたいニュアンスの方が強いかもしれません。
現在のMLBは特に、若手有望株というのは何よりも財産になりますからね。
Wishing you all the best, Derek. pic.twitter.com/GloMKcFr3Z
— Miami Marlins (@Marlins) 2018年11月26日
ただ、近年は有望株の価値が上がり過ぎて、フラッグ・ディールで超有望株が動くケースは減っているかもしれません。
レンジャーズも足元を見られてダルビッシュ有投手を随分と買いたたかれました。笑
だからこそ、主力を売る側も少しでも価値が高いうちに放出する傾向が強くなっています。
FA間近の選手よりも、若くてFAまで2、3年残っている選手の方が高い評価を受けますからね。
となると本当に凄い決断力が必要だし、決断する上層部もストレスがかかるでしょうね・・・。
Congratulations to J.T. on his first Silver Slugger Award. pic.twitter.com/esB302n1N8
— Miami Marlins (@Marlins) 2018年11月9日
日本だと優勝が無理な戦力でも「優勝を狙う」と言わなきゃいけない風潮もありますが。
MLBだと日本ほど「最後まで諦めない」的な価値観もないので、負けている側は負けを認めてさっさと将来を見据えた戦略をとるわけですね。
17年世界一になったアストロズも過去に主力を一斉放出して若手を育成。
シーズン途中のフラッグ・ディールでのバーランダー獲得も大成功。
数年前までお荷物球団と言われていたのが嘘のような躍進を見せています。
フランチャイズプレーヤーの放出
もう1つ日本にないトレードが、フランチャイズプレーヤーの放出です。
生え抜きの功労者、主力として活躍してきた選手ですね。
マリナーズがイチロー選手を放出したときにも驚きの反応があったと思います。
Last night, #Ichiro became just the 6th player in @MLB history to record 2,500 singles.#FishFacts pic.twitter.com/ZeyLlDQUF2
— Miami Marlins (@Marlins) 2017年9月9日
まあ、日本でも阪神の江夏さんや田淵さんなど例がないわけではありません。
近年でも糸井選手のトレードがそれに近いところではありますね。
MLBでもフランチャイズプレーヤーのトレードというのは、数多くあるわけではありません。
トレード拒否権の存在や、そもそも高年俸で全盛期も過ぎているケースが多いので、引き取り手も少なくなるケースが多いですからね。
だから「アンタッチャブルな存在だから」という意味でトレードが少ないわけではない印象は受けます。
日本でトレードが少ない理由
NPBではトレードが少ないし、トレードがあっても正直地味な印象はぬぐえません。
これに関して理由は様々あるでしょうけど、例えばトレードに左遷のような悪いイメージがついていた時代もあるようです。
実際に問題を起こした選手がトレード候補になることも多かったんでしょうね。
他にもトレード先で活躍されるとバツが悪い、批判されるなどの理由もあるとされます。
だからトレードするにしても毒にも薬にもならないようなトレードが多いわけですね。
トレード先で活躍されるぐらいなら、飼い殺しした方が良いという価値観もあるわけです。
あとは名門校出身の選手だと、アマチュアとのしがらみもあるのかもしれません。
すぐに放出する球団と評判になるのも、よろしくないということですね・・・。
まだまだあるMLBにある珍しいトレード
そういえば他にも日本では見られないトレードがあります。
監督と選手のトレードなんて例もありますね。
GMと選手のトレードなんてこともありましたが、このようなことは今後も日本では見られないでしょう。
それと、トレードに関連したところで言えば、試合中にトレード先に向かう光景です。
チームメイトにお別れの挨拶をしたり、新しいチームメイトにあいさつをする光景は夏の風物詩です。
こんなことは日本では考えられないですけどね。
それこそ挨拶をする間もなく、トレード先に向かうこともあるようですからねー。
低迷しているチームから優勝を争っている球団に移籍するのは嬉しい反面、お別れが寂しいのは当然ですからね。
新しい土地での生活になるわけですから、そこらへんの不安だってあるでしょうし。
トレードの噂のある選手がプレーに集中できずに、パフォーマンスに影響する例もあります。
ちなみにMLBでは奥さん同士の横の繋がりが、とても広く強いものになっているようです。
旦那が知らない土地に移籍することになっても、ママ友ネットワークでサポート依頼が飛ぶので助かる面もあるようですね。
MLBでは日本と違って奥さんたちは球場で試合を見るので、日本に来た奥さんは友達ができない環境に苦しむそうです。
旦那が日本で活躍するには、異国の地で孤独に負けない強い奥さんが必須とされています。
何にしてもNPBとMLBの移籍市場は大きく違っています。
トレードはビジネスだと言いますが、そういう意味でも日本には終身雇用の名残がありますからね。
アメリカだと優秀な人はどんどん転職すると言いますが、トレードだって求められていくというポジティブな考え方をされると言います。
特にマイナーリーガーにはキャリアのステップアップにトレードが朗報になる可能性が高いですからね。
日本だと戦力として計算していないからトレードって印象にもなりますからね。
今後もMLBのように移籍市場が活発化することもないかもしれません。